有給が沢山余っているので、特に用事がないが、一日休みを取らせてもらった。
今までは、休みを取ると会社も職場の同僚も渋い顔をしていたのだが、今の政府の顔色を窺って、アリバイっぽく、有給を取るよう(表向きは)言うようになったからだ。
そんなわけで、有給を取った(取らされた)のだが、何もやるべきことがなかったので、パチンコにいったら、同じ建物内のシネマコンプレックスでブレードランナーの新作をやっていた。
せっかくなので、上映時間に合わせて見に行ったら、三時間近くの長編だった。
–ブレードランナー2049
個人的には、良い映画だと思ったが、思い入れのあるマニアックな人や理屈っぽい人には不満があるだろう。私も不満に思うことは、いろいろあった。
敵方のウォレスは謎めいて哲学的な感じで、いわくありげなのだが、由来とか理由付けみたいなものは映画の中では示されず、「なんだかわからないけど、すごく不気味」という雰囲気だけあって、なぜ盲目なのか、特殊能力みたいなものは何なのか、目的は何なのか、説明がなにもない。
音楽はやたらと同じような重々しいトーンで、単調で長たらしく感じた。
アクションはハリウッド的なありきたりで、ハリソン・フォードも最後の一時間弱くらいにでてくるが、主人公よりも目立ってきて、ラストはハリソン・フォードのアップで終わる。
次回作への布石か?とも思ってしまった。
しかし、私が良い映画だと思った理由は、
主人公のレプリカントの男と「VR彼女」のジョイとの恋愛?ストーリー、そして、主人公が、移植された記憶が自分自身の記憶ではないかと思い始めて、命令に従うだけの人間?から自我意識が芽生え始め、その証拠らしきものも見つけ、レプリカントの女性から生まれた「奇跡の子」である可能性(つまりハリソン・フォードの息子)なのではないかと思い、それを「VR彼女」のジョイが「やっぱり、あなたは”特別”なのよ」といってくれて、もはや彼女なしではいられない気持ちになってくる。
ジョイ役の女優がとっても可愛いくて、若いのに気品を感じさせる顔立ちで、これから有名になる女優ではないかと思った。
「VR彼女」のジョイが実体のある女性のように可愛く思えてくると、それゆえに、主人公が肉体を持たない彼女と実際には触れることができないせつなさとか、やはり記憶が移植されたと知ったときの絶望感が迫ってきた。
若いときは、自分には何にでもなれる可能性があると無意識にしても思っていて、大人になって、自分がどこにでもいる凡庸な人間だと知ってしまったときの落胆と失望みたいな感情を、レプリカントの主人公といっしょに感じることができると、単なるSF映画とは違う意味合いを持つようになるだろう。
その感情の起伏のキーになっているのがジョイで、この「VR彼女」との恋愛に同調できなければ、期待外れに感じてしまうかもしれない。
ちなみに、「VR彼女」役の女優は、アナ・デ・アルマスという、なんとキューバ人の女優で、それなのにアメリカのハリウッド映画である「ブレードランナー2049」に出演している。
まだキューバ人のままなのか、アメリカに亡命したのかはWikipediaにも載ってなかったのでわからないが、結構エロチックな役でスペインなどの映画に出演している。
これからの注目株かもしれない。