今さらながら劇場版「鬼滅の刃」無限列車編を見た。先週の金曜日に私の居住地に初めて緊急事態宣言が発令されることが決定され、すぐ翌週からのことなので会社も対応に困り、月曜から不可欠な要件のある者以外は分散出社して様子を見るということに急遽なって、平日の日中に突然暇な時間ができてしまった。
この一年くらい映画館に行ってなかった。昨年の映画館は新作が上映禁止になったり、館内で一切飲み食い禁止になったりして、ポップコーンとコーラが映画鑑賞に欠かせないので、映画館から足が遠のいていた。今回の突然の日中の暇な時間で何をするか考えて、調べてみると、鑑賞者の少ない平日であれば、劇場内での飲食が可能であることを確認した。興行収入四百億円突破が目前らしいので、それに貢献しようと思った。月曜の昼過ぎに映画館に行くと、緊急事態宣言の影響で上映スケジュールが変更されてしまっていた。入口の予定表の差し替えさえされていなくて、チケット販売機を操作したのに一覧になく、遠くにいる係員に尋ねてやっと判明した。係員が慌てて、入口や掲示板などの貼り替えを行った。ホームページの上映スケジュールもまだ変更されていなかった。映画館内の券売機システムとの連動がされていないようだ。一時間半後に出直して、やっと鑑賞できた。
—劇場版 「鬼滅の刃」無限列車編 DVD
鬼滅の刃のテレビ版は動画サイトなどで断片的なシーンを見たことがあるだけで、テレビ版を通してみたことはない。絵柄が少し子供向け風でもあり、今からレンタルで二十六話分を通して見てみようとは思えず、大まかなストーリーだけ頭に入れた状態で映画を見た。アニメ映画としては、ハイレベルな良作だと思った。
絵的に気になったことがあった。アニメにCGが多いのは別に構わないが、このアニメの使い方には違和感があった。私はCGを積極的に使うべきだと思っている。ロボット・機械の無機的な感じや、ガラスに反射してゆっくりと動いていく雲や飛行機の動き、この映画の場面にあったような空と水平線がどこまでも続いて無限を感じさせる背景、などに使うのなら演出効果があると思うのだが、列車内で敵キャラの肉塊が揺らぎのない直性的・放物線的動きをしていたのは不自然だ。まあ、好みの問題でもあるので、これ自体はマイナス点ではない。
良くないと思ったのは、心理と状況について説明的なセリフが余りにも多すぎたことだ。これは明らかなマイナス点。それと、アクションシーンが連続するためもあるが、叫び声、壮大なBGM(BGM単体は非常に良い)の連続が過剰に感じた。それと、原作と基本ストーリーを私が良く知らないためか、変なギャグが入ってくるが、笑えず、逆に間を悪くしていた。美しい背景と綺麗な作画と動きでアニメとして悪くはないのだが、いまいち乗り切れない。アカデミー賞のアニメ部門の候補作になったらしいが、鬼滅の刃のファンでないと感動できないのでは、受賞どころか、ノミネートも難しい。ラスト近くまで、「作品の内部」から表現されるものに共感できずにいた。
しかし、最後の見せ場の煉獄と鬼の対決で、熱血青少年漫画のような、直球ど真ん中な素直な感情の発露のセリフの連打に、目頭が熱くなった。観客動員数はブームのためだろうが、最後良ければ全て良しではないが、これだけでも見た価値はあった。
(2021/5/24 追記) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の日本国内の興行収入が四百億円を突破したとニュースがあった。国外を合わせると五百億円に達するらしい。ヨーロッパはまだ全ての国で公開していないらしいから、まだ伸びるだろう。