小説 サラゴサ手稿 岩波文庫

ポーランドの大貴族が書いた長編小説。今までポーランドの作品は読んだことがなかったので、Amazonのお勧めに出てきたものを購入した。次から次へと、話が横滑りしていき、しかも奇想天外なエピソード(時代的に宗教関連とスペインやイスラムの風俗に関するものが多い)が連続して、宗教関連はちょっと辟易するが、慣れれば、ラノベ的な異世界魔法世界のような感覚で面白くなった。

— 小説 サラゴサ首肯 上・中・下 岩波文庫

三百ページ以上の三分冊で、一向に話が終息する様子がなく、登場人物も増えて行って、途中で誰が何をしているのか混乱するのは、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」みたいで、ある意味、時代を先取りしたような先駆的な要素もある。
ずっと無名で一部の知識人にしか知られてなかったそうで、その面白さは、当時の有名作家の何人かがエピソードを丸ごとパクって自分の作品として発表したというほどだ。こんな結末になるとは、読んでいるうちには予想もできなかったが、ラスト近くで話が次第に収束していくと、読み終わるのが寂しいような気持ちになった。長編小説へ気長に付き合うことのできる人へお薦めしたい。

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